いわゆるLavie的なperceptual loadの効果をASD (Autism Spectrum Disorder) の人たちで調べてみたとのこと。サーチ課題とは非関連なディストラクタをうまく無視するために必要な負荷量は、non-ASDグループよりもASDグループで高かった。しかもASDの人たちはサーチ課題のパフォーマンス自体はコントロールグループと変わらなかった。これらの結果は、ASDの人たちが視覚探索などで高いパフォーマンスを示す知見などと一致しており、ASDの人たちはコントロール群よりも高いperceptual capacityを持っていることを示唆している。
この手のデータがまだ報告されていなかったんだ、と意外に思った。自閉症と注意の関係はけっこう昔から言われているし、Lavieの話も有名なので、もうすでに誰かがやっているものだとばかり思っていた。データに関しては特に問題ないが、AQスコアーとの相関は調べておいてよかったんじゃないかと思った(うまくでなかったのかもしれないけど)。
ディスカッションが意外に薄かった気がする。これでこの雑誌に載るということは、Lavieの話と自閉症のネタを組み合わせたことの新規性が評価されたということか、ASDの人たちが高いperceptual capacityを持っているというcounterintuitive finding(でもない気がするけど)が評価されたということなのでしょうか。このあたりはまだこの分野を勉強不足なのでよくわからない。
SELECTIVE ATTENTION
- 注意のlocus of selectionは知覚的負荷(perceptual load)によって変化する(Lavie's load theory)。
- 知覚的負荷が低いときは課題非関連なディストラクタも処理される(後期選択)
- 知覚的負荷が高いときはディストラクタは処理されない(初期選択)
- 知覚的負荷と課題難易度とは同一ではない。例えばターゲットの視認性を下がったことによってパフォーマンスが低下しても、ディストラクタからの干渉量は減少しない(Lavie & Fockert, 2003)。
AUTISM AND ATTENTION
- 注意と自閉症との関係に関する研究はよくわからない状態。
- Dawson and Lewy (1989):ASDは、多量の情報にさらされることによって、非関連な情報をフィルターアウトする能力が低下し、overarousalに陥る。
- Burack (1994):パフォーマンスに対するディストラクタの効果がコントロール群と比べて増加。ASDは注意のレンズが過度に広いので、刺激にうまく注意できていないと結論。
- これまで検討されていなかった枠組み(知覚的負荷)で、自閉症と注意の関係を調べてみることが重要。
METHOD
Participants15人の成人ASDと25人のコントロール群。ASD群のうち、3名は自閉症、11名はアスペルガー症候群の診断を受けている。
Stimuli and Procedure
ターゲットはX or N。ディストラクタはZ, H, K, Y, or V。円環状に配置。
RESULT
Reaction Time課題非関連ディストラクタからの干渉量(Imcompatible - Neutral RT)は、コントロール群ではセットサイズ4で消失するが、ASD群ではセットサイズ4でも干渉が生じている。セットサイズ6では消失。全体の反応時間には両群の間に有意差はない。
Accuracy Data
正答率は両群で有意な差はなかった。
DISCUSSION
Lavie (1995)によるとcentral taskが注意容量をすべて占有しない場合には、ほかの情報に対しても処理が行われるようになるとされている。もし、ASDグループがより大きいpercetual capacityを持っているとすれば、central taskの負荷が高まっていく時に、より高い負荷がかかるまで干渉を示さないということになるはず(しかもcentral task performanceは保ったまま)。
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